男はやっぱりストラトかしら?



男はやっぱりストラトかしら?
30/1月/2012 18:04
 


割と最近ひょんな事からお知り合いになった方とのメールで、『無人島に1本だけ持って行くギターとは?』という話になり、やっぱり頭に浮かんだのがフェンダーのストラトキャスター。おや貴方も、というやり取りがありました。

えらいカッコ良く撮れてる写真ですね。

私が持っているストラトはこの2本で、手前のサンバーストは’78年製ですが、ただいまドック入り。

で、今回のお話は、その上に写っている「白いストラト」でございます。
ウチにあるギターの中では一番古株。
しかし、サンバースト’78を手に入れてからは、というよりもう何年も弦も張らずに押し入れに入れっぱなしという可哀想な身の上でありました。

もういい加減歳だしなんて事は考えていないのですが、ここ数年で、かなり機材は整理しました。

必要最小限と言うか、接する頻度を保てるものだけにしてちゃんと愛でてあげようということで、以前のテレキャスターの復活も然りでございます。
しかし、なぜか手を出せず終いだったのがこの白のストラト。

かなりダメージのあるものなのですが、それでも良しとしてくれる友人に譲って、次の人生を送らせてあげようかとも思いましたが、よく考えてみれば、なれそめからそろそろ30年近く経とうかというこの最古参には、多大なリスペクトをもって接するべし。
そうだよなぁ〜。
『ベアトリ〜チェ〜』なんて叫びが聴こえて来た訳ではありませんが、押し入れ煉獄から今一度引っ張りだして、ちゃんと現役として使ってあげるのが最大のリスペクトであるわけですな。

で、これは何年ものかと言うと、
ストラトの製造年判別法にはいくつかあるのですが、
その1:ネックプレート

『57****』ですから、色んなサイトによると、
1974年製という事になりますが、

その2:ネックエンドスタンプ

ちょっと見づらいですが、
『0903-4025』とありますね。
左から『09』はストラトのモデル番号、
次の『03』はメイプルネック、
ハイフンの次の『40』は第40週目、
『2』は月曜から数えて2番目の『火曜日』、
最後の『5』が、1975年ということ。

しかしこれには諸説あって、
○ある時期には最後の二桁が入れ替わっていた。
=という事は’72年?う〜ん、このギターではそりゃねえわな。
○4025の最初の『4』が1974年。
=ネックプレートからすると、これはあり得るかも。

その3:ピックアップスタンプ

ピックアップは、ネック側の1個のみがオリジナルですが、
残念、これは読めぬ。

その4:POT刻印

こちらも、この1個のみがオリジナル。
『サークルD』のコンデンサーがへばり付いてるのでトーンPOTですね。
CTS社製を示す『137』の次が製造年ですが、こちらはなんと『76』。

ということで、74、75、76年パーツからなる’76年モデルという事になりますかね。

こうやって色々めくったりしてると様々な事が甦ってきますなぁ。

これを手に入れた大学1年生の頃は、
『男はストラト1本持ってアンプのヴォリューム上げてグバッとワウ踏めばインだよニャロメ〜!』
なんて粋がっていました。
あんまり今と変わっていませんね。

弦を張り終えるまではかなり掛かりそうですが、しばらく続くかもよっ!



男はやっぱりストラトかしら?2
31/1月/2012 18:34 



私は世界一タイミングの悪い男だと言う事は自分で重々承知しております。
中学の時の後ろの席の女の子のある日の事を、つい先日突如思い出して『あぁっ、そっか、そういう事だったのか〜っ!』なんてようやく気付いてしまい、しかしあれから何十年経ってしまった今となってはどうする事も出来ず、なんてこったい!と。
こういうことよくあるんですよね。
それともハイパードンカンなんでしょうか?

そんな事もあってか、何年も放っておいたことで自責の念に駆られ、突如再生する事にした「白ストラト」の続きですが、これもモチッと早く手をつけてればなぁなんて思いを巡らすこともできますが、まあ、いいじゃないですか。


そもそもこのギターを購入したのは大学に入りたての頃。
高校時代から通っていた新宿の二丁目近くの楽器店。
当時は新宿のギター屋と言えばここだったでしょうか。
ひとつ路地を入った所には『ルシファーライジング』を観に行った芝居小屋もありましたね。*この小屋のルーツが天井桟敷で、美輪様もご近所にお住まいだったとか。

丁度「フェンダージャパン」なる奇っ怪なブランドが誕生しその最初のラインナップが売り出された頃で、店に行く度に
『おう、フェンダー買おうぜ、なぁ』なんて店のいつものアンちゃんが肩組んできたりしつこいので、こちらも
『やだよ、こんなのフェンダーじゃないじゃん。グ○コじゃんよー』なんてあしらっていたのですが、ある日、
『お前にぴったりのギターがあんだよ、これ買えよ』
しかし凄いセールストークだな。今だったら当事者以外が見かねてどっかのサイトにクレーム入れちゃいそうですが、当時は別に嫌な思いはした事など無く、もうひとりの兄ちゃん(こちらは後に『ストラトと言えばこの人』のお方)が何も買わなくてもTシャツやら何やらオマケを一杯くれたり、店に入る私を見かけると『うわっ来たっ!不良がうつるっ!』なんて冷やかされたりと、楽しいものでした。

ということで、『おまえにぴったりだろー?』といって出して来たのがこのストラト。
当時はナチュラル。しかしナチュラルの上から再塗装されていたのを、3日かけて剥がしたとか言ってました。
トレモロユニットとピックアップ2つは国産のものに替えられており、ボディには大きな打痕、普通は剥げてこないネックのポリエステル塗装もボロボロといった状態で、なんじゃこりゃ。
でも本物のフェンダーですからね。ジャパンじゃなくて。
ビンボ学生には、本物のギブソンやフェンダーなんてとても手が出ない代物でしたから、格安の提示には飛びつきました。確か3〜4万。

以来、どこに行くのもこのギターでした。
ちょこちょこパーツをグレードアップしたりして。


ノブも年季が入ってますね。
“TONE”と書いてある2つは後付けのもの。といっても、購入時付いていた国産ノブから純正にすべく、かの正規代理店、ギンザNOW ROCK&フォークコンテスト審査員である山野社長の銀座山野楽器まで買いに行って求めた純正品で、’76年オリジナルの”VOLUME”ノブとは、1〜10の文字の大きさが違いますね。80年頃のものでしょう。
あの頃の山野はさすが正規代理店、フェンダーの純正パーツがゴロゴロしていたり、でっかいガラスケースにピッカピカの舶来ギターから高級シタール、リッチーブラックモアのサインが入ったアニバーサリーストラトが飾ってあったりと、他の楽器店とは別格の雰囲気でした。
で、写真のノブですが、いずれも新品時には金文字であったものが、TONEの2つは塗料の金属成分が酸化したためか、緑色になっています。

パーツも出来るだけキレイにしてあげたいので、ここは思い切ってレプリカの新品を装着しようかと思い、オンラインサイト各種を当たってみると、
うわっ、出たよ。『エイジド』『レリック』。。。。。
ほぼ同型のものはあっても、なんとわざわざ文字を緑青色にしてある!
百歩譲って、オフホワイトが少々アンバー化したものはさもありなんと思いますが、あの緑色の文字がカッコいいとか渋いとか思うんすかね?
まあ、これは私個人の感想ですが。

さてもさてもで、だったらこの当時ものをキレイにしてちゃんと使ってあげましょとクリーニング。

にゃはは、VOLUMEノブは、完全に文字の塗料が取れちゃいましたな。
TONEはうっすら緑青が残っていますが、ここまでキレイになったのなら、せっかくですから金文字再生してあげましょう。

たまたまちょっと使っただけで残っていたメタリック金スプレイがあったので、キャップに塗料を出して、綿棒でちょこちょこ文字溝に流し込んでみました。

ちょこっと綿棒当てると、溝にすうっと入って行くのは、毛細管現象?
ハミ出ちゃったのは後でペーパーで取ってあげましょう。

取りました。

いいじゃないですか!

この後、コンパウンドでつや出ししたら、トップのTONE文字の金がだいぶ剥げちゃいましたが、ここはひとつご愛嬌で。

まだまだミッションは続きますが、どう生まれ変わりますやら。
『やっぱりオレにぴったりだった』と相成りますかどうか。




男はやっぱりストラトかしら?3
09/2月/2012 02:18




え〜、仕上がりました。
といっても、今回過程をあまり撮影しておりません。


施行前。
この写真ではまあまあの状態に見えますが、元々厚手のポリエステル塗装であったネックは、ヘッドロゴ面 (Fender〜って書いてある所)以外全て塗装が剥げてしまっており、フィンガーボードはかなり黒ずんでいます。

一番の問題はこのネックでして、先ずはキレイになるかならないか解りませんがやってみてこんな感じ。

ペーパーで磨くと、全体的に茶褐色だった表面には元々のメイプルの白さが出てきましたが、手あかで黒ずんだシミはさすがに消えませんな。
まぁ仕方ないでしょ。

ご存知の通り、この時期のストラトネックは、ヘッドロゴ面のみラッカー塗装で、大抵は色焼けしやすく、こちらもご多分に漏れずご覧の通り。
そしてよ〜くご覧いただくとお解りいただけるかもですが、フレットも抜いちゃいました!

以前書いた、その昔これを手に入れた直後、某ギター製作学校の一期生として入学した友人が、よっしゃオレがやったるというので、使い込まれたフレットを新品に打ち直してくれました。
しかし、その後使ううちにネックの木が痩せて来たためか、フレットの端が飛び出して来てしまい、イテテ。
何度かヤスリで削ったりしましたが、もういい加減山が減ったりしてますので、どうせ再塗装するこの期に新調する事にしました。
実はネットで、フレット一式と道具が安く手に入りましたので、いつかやってみたかっけどおっかなくて手が出せなかった『フレット打ち』にチャレンジしてみました。

とても素人が手を付けるべきでない領域とは解っていますが、長年連れ添った、しかも本格レストアなどという事になれば、とてつもない作業になってしまいそうなギターですので、私自身の責任のもとで一か八かやっちゃってみんべ。
ということで、どうなるか冷や冷やでしたので、ろくすっぽ写真も撮らずでした。

して何とか無事打ち終わり、塗装も完了してあらためて見てみると、
なんとかなりの範囲で虎目入りネックであったのですな。



『ストラトはネックが命』と言いますが、『ハードロックメイプル』と言われる固〜い木。
現在も同じ呼び名のものあれど、この頃のものは今や手に入らないグレードとの噂もありですから、大事にしないとですね。


フィンガーボードはご覧の通り、塗装の下に黒ずみがあり、普通なら『何じゃそりゃ?』との事でしょうが、自分では見事に甦ったと思っているのでこれで良いのです。
しかもわざと汚したりしてるわけじゃねぇし。

お次に問題だったのが、ボディゾーン。
この時期のピックガードは11本のネジで止まっていますが、もはやネジ穴がほとんど馬鹿になっており、オリジナルのネジは抜け落ち、11点止めならぬ、4点止めと化していました。

なので、ネジをちゃんと締め付けられる様にこの様に爪楊枝の先を切ってネジ穴に挿入。

で、これもせっかくなので、ネジ等の金属ハードウェアをゴールドにしてみました。

もちろん、トレモロユニットも。

実は、コレについていたトレモロユニットがかなりの難物で、おそらく国産のものが装着されており、かなり効きが固くチューニングも狂いまくりでした。
今回新たにあつらえたユニットは、非国産ウィルキンソン社製のもので、なぜこれにしたかと言えばその理由は2つ。
先ずは、

お解りでしょうか?
6弦以外の留めネジ穴が、左右に広く取られています。
6お本のネジの間隔の不揃いによって、ネジ穴との余計な摩擦が生じるのを防ぐための思いつきだと思いますが、これは、オリジナルのフェンダー製から国産に取り替えられて、ネジ間隔も怪しくなっているこのギターにはうってつけでありましょう。

その2はバネの固さ。
先述の通り、かなり固いアームアクションが気に入らず、使うのも躊躇してしまうくらいだったのですが、このウィルキンソン社製のユニットには比較的柔らかめの『バネ』がセットされているとか。
ならいいんじゃない?

で、結果は思った通りで大満足。
ユニットの動きも良く、チューニングの狂いもほとんど無く軟らかさもいい具合。
下手に当時のオリジナルフェンダーものを探してつけてみてもこうは行かなかったかも。
しかし、70年代のユニットって割とざっくりしたラフな造りでも結構チューニングが安定してたりするんですよね。
今回は多くのパーツが交換されまくっていたこのギターならではの成功例かも?


ハイ出来上がり。
いいじゃないですか。
カーチスやジミみたいに白のストラトが似合う男になりたいものです。
実はボディも購入当時いい加減な再塗装を施し、以来ウン十年のダメージ付きなので、こちらもいつかはキレイにリフィニッシュしてあげようかしら。

しかし、ストラトほど調整に手がかかるギターはないかもですな。
ネックの角度調整のティルトネジで鳴りががらっと変わったり、ティルトネジいじれば各駒の高さネジも調整せねばならず。トレモロユニットの固定ネジに至っては未だ正解が解らず。

また、もう1本の’78年ものに比べるといわゆる『生鳴り』は格段上なのですが、アンプから出る音は’78年の方がしっかり図太かったりと、不思議なもんですな。
フレットの仕上がり、高さのそろいはまあまあですかね。

ということで、見事現役復活した1976 FENDER STRATOCASTERでございました。
これからもよろしくね。



そう言えば昔ワンカップのラベルの裏は『世界の美人』シリーズだったよね(男はやっぱりストラトかしら?4)
01/9月/2012 21:41




あれれ、やっぱり白熱電球の下ではアンバー、黄味がかってしまいますなぁ。

当ブログ『男はやっぱりストラトかしら?3』でリフィニッシュを行ったはずの、75年ストラトのネックの塗装が猛暑故か、定番「神東塗料」ニトロセルロースラッカーを使わずに近所の工務店で買い求めた安価「アクリルラッカー」で仕上げたせいか、様々な素材に対して化学反応を起こしてしまう様になり、ポニースキンの毛皮に立てかければ毛羽毛羽の模様が、ラッカー塗装保護ブラジャー(って言うらしいですよ)装着済みのギタースタンドでは、くっきりその痕跡がネックに化石の様に凸凹してしまう様になり、こりゃイカ〜ン!

一方ボディはボディで神東塗料「ミルキーホワイト」でネックの後にキレイにリフィニッシュ済みにて、こりゃーネックはやっぱやり直しだべか?

まぁ正直な所、一番はこのジミ写真を見て

「ああ、そうだよなー、ブランニュー時は斯様にメイプルネックとは『白木』であるのことよ。」

前回のリフィニッシュではロゴ保存のため、ここだけラッカーゆえ黄ばみまくっていたままにしておいたヘッド表面も含めて、ブランニューっぽくナンねーかなぁーと思っていたら、この世には『メイプル漂白』なるまこと魔術の様な行為を行っている者もあるとかないとか。

探しまくった所、要は障子やなんかの白木の木枠が経年で黄ばんだものを、新品時の様に白くする魔法の薬剤をアマゾン川で発見し早速塗りまくるという蛮行に打って出たという訳です。

これだと白くなってるかどうか解りませんが、前回落とせなかった手あかによる黒ずみも、100%とは行きませんが、かなり漂白できます。これはイイかもよ〜ン。

そして、ホレどうだ!

確実に先ほどのジミ写真くらいには白くなりまして、まぁキレイ!

now&then


ボディのハードウェアをゴールドものに変更済みでしたので、安物ですがペグも遂にゴールドに。
真っ白のヘッドに、目映いばかりのゴールドペグがイカすぜ!
まるでロシアンパブに来たみたい!!
とはいえ、身共斯様なる茶屋に足を踏み入れた事など無く、飽くまでもイメェジでござる。
あ、でも職場が錦糸町だった頃にお客さんでブロンドのまっ白なロシア美人が良く来ており、夢かと思った事はありました。

当然ロゴもリペア用のものに張り替えましたが、いい値段した割りには”STRATOCASTER”の文字がオリジナルより太く、弧の描き方も甘く、で、貼り位置も何度かやり直す内、ち切れちゃったりノリが流れちゃったりで落ち着いた場所は妙にナット寄りで、何だかまるでリイシューっぽいなぁ〜。でも、75年に70年のロゴ貼ってるんだからもはやしっちゃかめっちゃかでんねん。

で・も・ね、
薄〜いラッカー塗装が良かったのか、以前より、堅〜いメイプル特有のサスティーンの良さがより顕著になったのには感激したなぁ。
これはリイシューじゃ絶対できねえ芸当だべ。やっぱ木が違うんだよなぁ〜。

ささ、お祝いに乾杯しましょ。


喰いかけの写真ですが、本日パーツ買い出しついでに日本美人がいる駅ビルにふらっと立ち寄った所「フェタチーズ」を発見。
フェタチーズだ〜い好き!
賽の目に切ってプチトマトとオリーブオイルかけただけでまぁ美味し。
かくしてフェタチーズの如くボディもネックも美白できたストラト。
もうかれこれ付き合いも30年!
ウチにある一番長い付き合いのギターがピカピカに甦ってなによりなにより。
良かったね、そしてこれからもよろしくね。
 


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