やっぱampegでしょ!その1


『1973年ストーンズは武道館にやって来なかった被害者の会』
2010/09/24/11:43



行って来ましたよ武道館。 


上映前の模様です。スクリーンはなかなかデカかったですね。 

なんかこうやって見ると、 
『1973年ストーンズは武道館にやって来なかった被害者の会説明会』といった趣きですな。 

お客さんは三々五々集まって来ましたが、全体で見ると結局はスカスカ。 
アリーナの前ブロックは真ん中のみ着席で、私の居た中央のみ左右にまんべんなくと言った感じ。後ろのブロックも前ブロックと同様でしたが、「俺たちの席ハジッコだからここでいいんじゃん?」と、空いてるブロックに陣取り、始終歓声を上げていたビール片手のメンズは実にナイスでしたね。やっぱあれぐらい楽しまんと。 

PAは今イチでしたね。まぁ、武道館ですから限界はありますでしょうが。 
でもチャーリーのバスドラで、アリーナの床がどすんどすん揺れてたのは感激でした。 
迫力、低音はまずまずでしょうか。自宅ではこんな体感は味わえませんからね。 

なんでわざわざ武道館でフィルムコンサート?の理由はいまさらここでは書きませんが、 
「別に本人たち来るわけじゃねーし」 
という方々には、こういう事を楽しめる乙なセンスっていいじゃないですか。 
「2003年に本物が来たじゃんよ」 
と思ってる方もたくさんおりますでしょう。でもミックテイラーが居ねんじゃ意味ねーじゃん。と思ってるいちファンもいるのです。 

あとはあれですな、ギターだろうが何だろうが今は全てPAの中で出来上がった整ったミックスをPAスピーカーから増幅出力するというスタイルですが、当時はギターアンプなんぞは大出力をずんらりならべて、ステージ上からドッカーンと音が放出され、PAは、その音を含めて上手にバランスをとっていたはず。 

ちなみに、この時期ステージにずらーっとそびえてるのは、Ampeg社製の300W出力アンプのスタックです。ベースだろうがギターだろうが、全て同じこのアンプです。 
真空管アンプ好きの方ならお解りでしょうが、どんな出力のアンプも、その出力の上限近くまででかい音出して初めてそのアンプの『ドライヴされたイイ音』が出るわけで、しかも300Wですからね。「マスターヴォリューム」何てモノはまだありません。さらに、FenderでもAmpegでも、聴感上はその2〜3倍といいますから何ともベリナイスですね。 

今日の上映を観た方はお感じになったでしょうが、あの二人の図太いゾクゾクする様なギターサウンド。あれが、Ampegの青光りするサランネットを突き破って、図太いビームとなって武道館のステージから客席に向かって放出されたかと思うと、’73年の来日公演が実現しなかった事をホントに悔やみます。かといって、当時私は小学校入りたてですから足を運ぶ事はなかったでしょうが。でも、日テレ辺りがまたもや収録していたかもしれません。 


でこちらが、来場者全員にプレゼントされたポスター。 
さっきのスクリーンじゃないけど、この写真もこうデッカクしてみるとまた良いですなあ。

テイラーさんイイ顔してます。 

ノブを取っちゃってるから解り辛かったピックアップセレクターの位置とか、十数年前から観ていたブートのビデオでは発見出来なかった事も結構ありました。 
このレスポールにはビグスビーを取り付けたネジ跡もありました。ハイドパークの時とは別物かと思っていましたが、もしかしてあれを改造したものでしょうか? 


キースさんの後ろには例のAmpegがそびえていますね。 
これは、後に世界最強のベースアンプとして世に君臨する”Ampeg SVT”のプロトタイプだそうです。 

1969年のツアーからストーンズはこのアンプを使用していますが、ここに物語があります。
ハイドパークに観られる様に、当初は”HIWATT”のアンプを使用していましたが、ヨーロッパ公演を終え、さあ、あのミックジャガーが「ストーンズのベストなツアーだった」と宣った1969年度USツアーにGO!といった折に、ストーンズ側が用意したフェンダーアンプ群を電圧の設定ミスでお釈迦にしてしまい、どーしましょ!(欧州と米国の電圧問題?で煙がモクモク上がって炎上したとか。また別の噂では、通関の遅れで”HIWATT”が届かなかったというのもあり。)
そこで、6番目のストーンズ、”スチュ”ことイアンスチュアートから話を聞きつけたAmpeg社のリッチマンデラ氏は、その年のシカゴNAMMショーで発表したてのSVTのプロトタイプをトラックに詰め込んで、ストーンズのリハーサルスタジオであるワーナーブラザーズへ急行。以来めでたくストーンズ御用達アンプとなり、この時期のストーンズにノックアウトされたファンの間では、伝説&夢のアンプともなったのであります。 

「えー?ストーンズのAmpegってプロトタイプだったんだ。じゃやっぱりその後売り出されたSVTってベースアンプなのー?基本ギター向きじゃないわケー?」 
という疑問もごもっともですが、例えば、70年代に入ってAmpegの”V”シリーズというのが発売されます(V-2,V-4,V-4B,VT-40,VT-22)。これはSVT(Super Vacuume Tubeの略なんですって)の流れを汲む、非常にROCKなアンプシリーズで、ヴォリュームノブ”5”(つまり半分、12時)で十分に歪み出し、太〜い爆音が出現するのです。 

で、この中の”V-4B”というのがベース用アンプなのですが、これをギターで使用しているという人に以前聞いた所、「ああ、ヴォリュームあげりゃ歪むし、ミッドレンジコントロールでフェンダーやマーシャルライクなサウンドも思いのままだぜー」なんておっしゃる。 
しかも、SVTには『ウルトラハイ』『ウルトラロー』スウィッチなんてモノも備えてあって、キンキンのハイだろうが地獄の底の様なローだろうがまたもや大爆音で登場するわけですな。 
ゆえに、この当時のAmpegのベースアンプに関しては躊躇せずギターを突っ込んで試してみるべきという事であります。ましてやそれがSVTであったなら。 
<追記>
Ampegのベースアンプにギター突っ込むのは良しとして、スピーカーボックスはギター用を使ってくださいね。当時のストーンズもスピーカーユニットは別物だってことは、このシリーズの後半で明らかになります。

「じゃ、それ一台あればイイんじゃない?なんでこんなに色んなサイズのがアンタんちにはゴロゴロしてんの?」 

うむ、然りではありますが、なにせSVTは世界最強、最大爆音のアンプであります。対応出来るアッテネーターなぞなく、たまに見かける太っちょのパワー管を低出力の細っチョにコンヴァートして出力を抑えるデバイスもありますが、そのメーカーに問えば、SVTみたいにとてつもなく高い電圧が管にかかって出力もアホみたいにデカイアンプには使えないのよ。とのお返事。 

『んなら、爆音でやるんだよ、うっぎゃー!』といったところで、リハーサルスタジオは聴覚破壊拷問部屋と化すわけで、バンドなぞ組めるわけありません。 

そういえば、昔Ampeg仲間であった友人がある日”V-9”というSVT同様300Wで、ギター用にリヴァーブを備えたアンプヘッドを見つけて来て、「全てはギターのヴォリュームでコントロールすればいいのだ」と、無理矢理ライブハウスで鳴らしてた事があります。いざギターソロだ!とギターのヴォリュームをグイッと上げ始めると、グオ〜ッと巨大な津波が押し寄せてくるようであれはあれですごかったなぁ。 

で、武道館上映は1日限りでしたが、TOHOシネマズ14館で10/1〜8まで公開されるそうです。音のいい所があればまた観てみたいですね。 

ちなみにこれはすでにDVDリリースされてますが、『ストーンズ・イン・エグザイル〜「メイン・ストリートのならず者」の真実』が渋谷アップリンク等で公開中だそう。 


ん〜、DVDも欲しいけど映画館でも観たいなぁ。何か”THIS IS IT”以来、音楽ものの大画面大音響をシアターの空間で体験する良さが身にしみてますね。アナクロにも聞こえますが、自宅DVDとは別モンですよ。 

明日は代々木公園でナマステインディアですが、その前に行ってみますか。 
ん〜ハラへった。 


『ポセイドンのめざめ』
2010/12/27/02:01



なるほどザワールドではありません。 

アキバへアンプパーツを求めに行ったのですが、ポセイドン的なパーツ屋さんで大変親切に教えていただいたので、ウレシくてアトレの立食い寿司で一杯やってスターケバブでイフティヤールをお土産に買って帰って来ました。 

その昔、真空管のギターアンプ買いたての頃はアキバのパーツ屋さんというと、 

「あの、、コンデンサーなんですけど、、」 
「ギターアンプ?こーゆーのは無いよ。安い奴でも組み合わせれば?」 
「えーと、、マロニー、あ、いやマロリーとかは、、」 
「え?そんなイイの使ってんの?ギターアンプなのに?ふーん」 

何て調子の店にしか当たった事が無くて、無学な私めが立ち入るスポットではないかな?なんて思っていましたが、このところ良く行っている真空管屋さんといい、親切な方はちゃんといるのですね。 
もっとも、ネットで下調べが出来る時代ですから、そういうチャンスも増えたというわけ。だからまた、アンプいじりとかに目覚めちゃったんですな。 

今日も、同キャパシタンスのコンデンサーが見当たらずモジモジしていると、『回路図見せていただければ代替で使える値のものがありますよ』とのお言葉に天啓のごとくひらめき、そーだそーだ、おれにはおめーという、つえー味方があったのさとiPhoneを取り出して回路図ググってお店の方に見てもらって、無事入り用部品を手に入れられたわけです。 
いやはや便利ですなぁ。 

そーいえば、その立食い寿司で引っ掛けた『村田』というお酒が大変飲みやすく、おねーさんに瓶を見せてもらって自宅でイフティヤール喰いながらググってみたけど、どこにも出て来ない。はて? 

ちなみに、『イフティヤール』とは、通常日本で売ってるケバブとはスタイルが異なり、ピタではなく、フランスパンでオニオンとビーフ、トマトをサンドしたもので、ソースは無し。 

祖国トルコではこっちの方がポピラーだそうですが、どれどれ、オイラも本場タルキッシュメンばりにこいつで行くか!ソースは基本なしだそうで、んならやっぱ無しでしょ!と試したところ、肉汁がオニオンとパンにシミシミしてこれが激ウマでした。少々冷めても、パンもぐんにゃりならないし、お土産には断然こっちかな。それに、お家だったらお好みでピリッとさせたきゃ、ホットソースとか色々試せるしね。 

マイフェイバリットはこちら。 

Oh! グレイテスト サルサピカンテ! 
アラブ圏では欠かせない『ハリッサ』です。スッパ味皆無のペーストで、唐辛子ならではの渋みがまたたまらん。よし、こいつをぐにぐに出して、オイラも男らしくガブリと行くぜ!う〜ん、あまりにウマすぎて眉毛がつながる!! 
お前は鬼平に出てくる老盗か!? 
放っとくと一本眉になってしまう私のルーツはもしかしたらアラブにありか? 

閑話休題(使い方合ってるかな?) 
で、その『村田』なるお酒。 
水の様にすっと入ってくるその飲み口は、むかーし、新潟に仕事で行った際、上司に連れて行ってもらった地酒屋で呑んだ雪中梅以来だったので、しかしその後幾度か呑む機会があった雪中梅はそんな感じじゃなくってかなりイマイチ。あれは温度ですかね? まぁ、そういうわけで、久々の感覚だったので、ご家庭、お茶の間でも是非と思ったのですが、ちょと難しそうですな。 
静岡の花の舞酒造とあったのですが、サイトには出て来ないのでメールしてみましょか? 



『やっぱAmpegだね。』
2010/12/30/00:40


大変押し迫ってまいりました。 
そして先日来ブログにも書き込み行なっていたアキバ通い&アンプいじりもやっと一段落いたしました。 
何をいじいじしていたかと言うと、 
こちら様で御座います。 

という事で、今回は私が長年に渡り愛するampegアンプのお話でございます。 
最近は中古市場でホトンド目にしなくなりさびしい限りですが、今年の秋のストーンズ”Ladies and Gentlemen”@武道館&DVD以来、何とかもっとampeg人気&認知が盛り上がんねえかなあとずーっと思っておりました。 
また、 
日頃マーシャルやフェンダーアンプのオーナーブログを拝見して、大変参考にさせていただいておりますので、私めも何かと思いまして、日本ではampegに関する情報がもはや皆無と言っていいくらいなので、私の拙い知識でもお役に立てればということです。 

でこちら様は、先月末に某外国オークションサイトで購入したのですが、大変な格安プライスでございました。 

その名はampeg社謹製”B-25”モデル。 
1969年のたった1年間だけ生産されたもので(その後は”V-3”というモデルへマイナーチェンジされるも、’71年で生産終了)、良くベースアンプと思われがちなのですが、ベースアンプは、同年の1969年からB-25Bというモデルが1980年まで生産されており、こちらのB-25は、純然たるギターアンプです。 

Ampeg社は1971年だか72年だかにMAGNAVOXカンパニーと合併し、工場もそれまであったニュージャージーのリンデンからお引っ越し。ゆえにこれを境に、それ以前のモデルは”LINDEN ERA(リンデン期)”と言われるのですな。
 
特に1969年のSVTから始まった、ampeg社の革命的新機軸 "Super Vacuum Tube"思想によるドライヴしまくるロケンロールアンプは同社の顔となるわけですが、'71年のお引っ越しまでLINDENで造られた時期は短く、珍重されているのです。 

そもそも何でこのモデルに目を付けたかと言えば、そうです、 
この人達が使ってた、
 

これと同じ時期のモデルで、

しかもご覧下さい。 
SVT


B-25 

ほぼくりそつ。 
要は、SVTのミッドコントロールが無くなったのが見かけ上の違い。 
もっとも、SVTは世界で最も多くの真空管が使われているギターアンプで、見かけとは裏腹にB-25とは設計が大幅に異なるのでしょうが、まあ、いいじゃないですか。 

20代の頃より、何度と無くampegを買い替えて来た私。 
『ampegの中古が出た』と聞けば、東から西まで東京の中古屋に馳せ参じたものです。 
80年代のお茶の水クロサワにはゴロゴロしてましたね。あの雰囲気大好きでした。 
懐かスィー! 
でも、当時ごくタマーに見かける4インプットものは、『同じアンペグでもありゃ歪まねーぞ』という都市伝説もあって手を出さずじまいでした。 

で、今まで使用して来たVT-40、V-4、V-2というモデルにはampeg名物の『ミッドコントロール』が付いておりましたが、アクセント的なエフェクトという印象でしたのでゼロより上に上げる事はありませんでした。 

ampegのミッドコントロールは、12時の位置がゼロ、通常のアンプで言うとミドルフルアップの状態で、左へ回すとミドルがどんどん削られて行きドンシャリに、右へ回すと、所謂『ワウ半踏み』の様に音が変化する、ミッドブースターとなっているのです。 
ツマミの上のスウィッチでは、その削ったりブーストしたりするミドルの周波数を、3種類セレクト出来る様になっています。 


<For Example> 
Ampeg期ストーンズを代表するこのLIVEテイク曲ですが、キースリチャーズがソロの出ばなで、このミッドノブをグイッと上げてブーストさせております。 
3:10の所で音が変化するのがお解りいただけると思います。 


いや〜いいですねぇ。後半のソロはもちろんミックテイラーですが、天才でございますな。 
んで、このミッドブースト、エフェクトとしては面白いのですが、別に無けりゃ無くてもいいかなと。 

そもそも当時のSVTはベースでもギターでもオーライなアンプで、ストーンズのステージに並んでたのは、テイラーさんキースさんビルさんもその後ろに、同じ筐体がずらっとそびえていたのです。 

であるからして、ストーンズのLIVEで聴ける音は特にギター用に特化したディストーションサウンドではなく、極上のナチュラルオーヴァードライヴサウンドであるわけです。しかし300Wというモンスターアンプ、しかもマスターヴォリュームなど無いワンヴォリュームアンプはさながら大怪獣。そいつをドライヴするまで音量を上げられた幸せな時代ゆえのサウンドと言えるのかもしれません。 
一体いつからステージ上のアンプは『音源素材』となってしまったのでしょうか? 
P.A.の進歩は日進月歩なのはそりゃ当たり前ですが、ギターアンプの巨大キャビネットからガバショと放出されたサウンドと、P.A.から出力する音のミックス&バランス加減なんて、オペレーターの腕の見せ所なんじゃないかなぁと常々思っているのです。 

初来日から何度と無く足を運んだストーンズのドーム公演も、テイラーさんがいないのは仕方ないとして、(ある時は前から2番目で観てても)ギターアンプ直の音が聴こえて来ない、しかもP.A.の音はドーム内ぐーるぐるで何だかわかんねぇぜ。というのが一番がっかりでした。何が世界最長老ロックロールバンドじゃ!ストーンズファンの皆さんゴメンナサイね。 

ちなみに、その東京ドームであまりの音の良さにビックラこいたのはプリンス殿でございました。何だ、ちゃんとその筋の職人はいるんじゃん。どこにプライオリティ置くかということでしょう。 

いままで使用して来たAmpeg V-2,V-4,VT-22,VT-40等はギター用で、かなりのオーヴァードライヴサウンドが出せますが、それはやはりヴォリュームを(マスター付きならマスターもろとも)どばっと上げればの話。でもこれらはせいぜい60〜100Wアンプですので、アッテネーターで制御出来るわけです。ゆえにこの範囲で今までチョイスして来たのですが、たまにふと思うのが、SVTだったらどんな音がするんだろーなーという憧れ妄想。 

SVTは極々タマに安めのものがオークションに登場する事もありますが、アッテネーターの許容範囲も超えてしまっていて、高出力のパワー管を低出力のものにコンヴァートするデバイス(Yellow Jacket等)も、発売元に確認したら『SVTみたいに管にウルトラ電圧が掛かってるアンプには使えないのよ』とのこと。 

いやはや、スタジアムツアーを繰り返す人気者でもない限りこりゃ夢のまた夢ですな。 
もっともヘッドだけで40キロ近くあるから、一人じゃ運べねーもんな。 

それでもって、オークション上のB-25を見つけた時は、はたっとひらめいたわけです。 
B-25なら出力も50か60Wなので、こいつをグイッとフルテンにしたら結構なナチュラルオーヴァードライヴで、しかも、ここが肝心なのですが、ギター側のヴォリュームをチペッと下げると、サスティーンタップリのクリンクリンのクリーンサウンドが登場すんじゃねぇかと思って.... 

それから瞬く間に手元に届いたB-25のお姿がこちら。 

うっへー、きったねー。 
ほとんど楽勝で落札できたのも、この見た目のおかげ?

ノブ全部なしとか 


パワースウィッチがダサダサスウィッチになってたりは写真で確認済ではあったのですが、 


バックパネルの表示なんかほとんど見えましぇん。 

 
かろうじて”LINDEN”の文字が見えます。 

中を開けたらプリント基板のパターンも全く見えない程、ホコリその他でマッ茶色。 
写真を撮る間もなくすぐさまクリーニング開始。たぶん中身をさらした状態で、ん十年もガレージかどっかにホッポリっぱなしだったのでしょう。 


そうそう、肝心の音の方はというと、 
『ウルトラハイ』『ウルトラロー』という、高音低音強調スウィッチが付いておりますが、全く働いてない様子。 
でもストレートでイイ音がします。ヴォリューム上げると結構歪みますね。 
あきらかにV-シリーズとは違う音です。 

ほほー、これならインじゃね?ちょこっと調整すれば少し良くなるかも。 
と思って、ギターのヴォリュームをチョと下げると、おやおや〜? 
ずぶずぶと荒くかすれて音が消えていきます。なんじゃこりゃ? 
ギター、シールド側は問題ないので、とりあえずインプットとスピーカーアウトのジャックをクリーニングしましたが変わらず。 

こりゃけっこー難題かもよ。いよいよフィルターキャパシター交換にもチャレンジでしょうか? 
まずは部品を調達しないとね。 

ここまででえらい長くなってしまったので、続きの『再生編』はまたの機会に。 



『オラは凝っちまっただー』
2011/01/06/21:29



ということで、Ampeg 修理『再生編』です。 
年末年始、我が家の食卓をすっかり占領してしまっていたB-25ちゃんです。 
 

ちらっと見える緑色のゴム手袋は、変態行為に興じていたわけではなく、絶縁対策です。 
ではまたここでご注意を。 

*何も知らずにアンプの中身を開けるのは自殺行為です。 
コンセントを抜いてしばらく経っても、アンプ内部には様々な箇所に数百ボルトの電気が蓄電されており、うっかり触るとなればあの世行きです。家庭用コンセントは100Vなのは周知でしょうが、その数倍の電圧には耐えられますまい。私自身、電気回路知識には疎い身ですが、いの一番に勉強したのが、この蓄電を解除する方法です。器具も手づくりしました。


ampegが大好きな私ですが、経年変化その他には逆らえぬヴィンテイジアンプを何とかしようにもどうしたものか、このまま時とともに老いさらばえてゆくのを見守るしかこの21世紀に私めにできる事は無いんでありましょか!という時に、流石便利なネット時代、こんなにも心強いサイトがありました。 

http://www.fliptops.net/
なんとAmpegのパーツ専門サイト!!! 
デッドストックパーツも豊富で、見つけた時には大層興奮しました。 
これで、ついにあの時代の音を蘇らせる事が出来るのか? 
アンプエクソシズムとでもいうべき素人禁断の領域についに踏み込むぞな! 

ということで、すっかりアンプいじりに凝ってしまいました。 

まず注文したパーツ郡はこちら。 

一見普通のドライバーですが、60年代から70年代初頭の”LINDEN”期には、この様な

『分銅型』のネジが使われており、それ専用のドライバーです。こんなのもあるなんて、気が利くじゃねぇか。 

お次ぎはこれ。 
ゴム製のショックアブソーバー。 
アンペグは実に素晴らしきショックアブソーブ機能を備えたアンプで、ヘッド部のユニットを、このパーツを介してキャビネットにマウントしています。 

ピンぼけでスンマせん。 
この様にアンプヘッド部シャーシをゴムで支え、その下の黒板を、 

このキャビ横のスクリューで固定、するってーと 
ヘッド部シャーシは、ゴムにはさまれて(ゴムをはさんで?)外部からの振動を受けにくくなるってぇ寸法。 
考えた人は偉いですね。 

で、先ほどの写真は”V-2”というアンプのものでしたので、B-25のはこちら。 
何と木製。今まさにくっつけてます。 
もともとついていたゴムの皆さんがこちら。 


おつとめご苦労さんでした。 

それと前回ご紹介した様に、購入時にはVOLUME, TONEノブが全て失われておりましたのでこれもオーダー、

同時に肝心なのがポテンショミーター、いわゆるPOTですな。 
お解りいただけますか? 
AmpegのPOTは、ノブを受ける軸が”D”型なのです。 
よって、このPOTがいかれると、たいてい入手が容易な丸軸のものに交換されます。 
中古のAmpegで、ノブがオリジナルと違うものが混ざってがちゃがちゃ付いているものを良く見かけますが、このためです。 
このB-25もchanel 1のVOLUMEとTREBLEが丸軸になってました。 


ちなみに、こちらがAmpegノブの裏側です。 
裏から見るとD軸用なのが良く解ります。 
キラキラの方は、クリスタルギターでもおなじみの70年代初頭の『メタルノブ』です。 
このメタルノブのD軸には、ワッシャー型のバネ?がはさんであって、ノブを差し込む時の『ムニュッ』という感覚が何とも言えません。 


キャビ脚も見事にもげていて、ネジだけ刺さっていましたので、こちらもオーダー。 


以上はFLIPTOPで買い求めたもので、実は新品のフェイスプレートにも惹かれたのですが、
あまりピカピカすぎるのもなぁというので、またの機会に。 

さあ、ここからがメインの電気関係です。 
前回書きました、『ギターのヴォリュームをチョと下げるとずぶずぶと荒くかすれて音が消えていく』現象をなんとかせねば何にもなりませぬ。 

FLIPTOPにも、各年代モデル用のCAP KIT=電解コンデンサーの詰め合わせがあるのですが、各CAPの電荷がすこしづつちがいます。 
当時ものの、特にブロックコンデンサーは同じものを見つけるのが困難なので、近似値でそろえていますと。 

でも、初めてだし、せっかくだから色々さがしてみてようやく同値のものを発見。 
”amppartscollective”という、イギリスの業者からロイヤルメールで取り寄せました。

ドイツのブランドだそうで、オーディオ用らしいのでこれでいいっしょとオーダー。

写真は実際のものとは電荷が違いますがご参考までに。 

ギターアンプの修理はたいてい、このコンデンサー交換が第一義です。 

当時もののいわゆる『電解コンデンサー』は、使っても使っていなくても寿命が来ちゃうそうなのです。7〜10年でたいていダメになるそう。 
へ〜、そんなことボーナス出るたびに即楽器屋グルグルしてた頃には聞いたこたぁなかったなぁ。でもへたに20代の生ガキなんぞに教えていたら、感電なんかするもんか、テヤンデー!とか言って下手に手を出して今頃こんなブログなんか書いていなくて、俯瞰で21世紀の世界を眺めているのかもしれません。 

という事は、一応現役で使えてるアンプ、それなりの個性を発揮してるアンプでも、70年代ものとかいったら、とっくに寿命が来てるものがあるわけで、いつかチャレンジしてみたかったのです。 

で、今回のB-25は1969年製ですからこりゃもう言わずもがな、『ずぶずぶフェイドアウト』も、不能のウルトラハイ&ローもこれで一発で直んねーかなー。 
なんて期待を込めて取りかかりました。 

*ここでひと言。一般的に、もちろん私も含めて素人領域では、音質にかかる要因の筆頭には真空管が挙げられますが、ここで行なうコンデンサーも音質に関わるものです。 
新品のコンデンサーに交換する事でパフォーマンスは間違いなく向上しますが、現在のコンデンサーにチェンジするので、当時の音とは異なるものになります。 
標榜した『アンプエクソシズム』とは少々違ってくるかもしれませんが、濁った音やアクの様なものを取りさるという意味でひとつヨロシク。 
ホントに欲しいのはクリーンさですので、多少現代的になるならそれもありかと。 
大元のぶっといキャラクターは失われませんからね。 


見た感じはこんな感じ。しかし、シャーシ底面サビだらけ。そこまでは奇麗に出来ないけど、音はちゃんと出る様にしてやっかんな! 

で、先ほどの丸と四角のコンデンサーを古いものと交換し、その他の電解コンデンサーも新品に。ウルトラハイ&ローは多少効いてるのかな?ぐらいにはなりました。 
でも『ずぶずぶフェイドアウト』に変わりなし。 

ここで、出力セクションにある7199という真空管が接触不良を起こしているのを発見、管をつまんで少し揺すってみると、盛大なノイズとともに、パワー管の7027の内部がベチベチッとスパークル。キレイだなぁなんて言ってる場合でもなく、ははぁ、『ずぶずぶ』の原因はこれじゃな!と、思い切ってソケットを新品に交換。 

ん〜、まだダメか。

こちらが古CAPのみなさんと、接触不良だった7199TUBEのソケット。 

よし、では順番にというか、少しずつ潰していきますか! 
電解以外のコンデンサーも、ホトンド全てオーディオ用の新品に交換。 

まだだめか。 

ここで、もう一人のつえー味方、”Ampeg V4 .com”!! 

なんと世の中には、Ampegのファンサイトというものがあり、“FORUM”ページには、さまざまなお悩みをお持ちのユーザーと有識者の方々が集い、全世界のAmpeg(特にヴィンテージもの)ユーザーの駆け込み寺となっています。 
もちろん、『荒らし』何て現象は皆無です。パブリックなスペースということを流石ちゃんとわきまえてます。 

質問してみました。 

すると、どこからともやら仙人の様な、はたまた預言者の様な御仁が降臨して知恵を授けられました。 
『なぁお前〜、B-25には大抵トラブっとる41番抵抗というのがあるんや〜。焦げたりしとらんか〜?しゃんとしてるかチェックしてみなはれ〜。』 

早速見てみると、やはり基板がちょい焦げでしたので、オラクル通りにワット数のデカイものへ交換。 
それと、同様の問題を抱える投稿者がいなかったかと、過去スレをさかのぼると、7199TUBE周りの抵抗に問題を抱える事象を発見。 
ではと、先ずは半分、そして残り半分と抵抗を新品に替えてみましたが、特に進展なし。 

ん〜も〜、いい加減メゲて来ました。やはりしろーとには無理なんでしょうか? ?
それとも好奇心があるにはあるくせに、いっつも中途半端で終わってしまう私は真性ダメ人間なのでしょうか? 
素人仕事の後始末を業者の方にゆだねるのも気が引けるし、いくらか掛かっかわかんねーしー。お蔵入り?でも、あの片鱗を聴く事の出来たストレイトな音は捨てがたいしなー。 

出力セクションの全ての抵抗は新しいものを用意していましたので、食卓も使えないままですし、一個ずつでも買った分は替えてみませう。 
先ずは電源周りかなー、なんて数個取り替えると、割と大振りな抵抗の片足が基盤から外す際ポロッと取れてしまいました。 
も、もしやっ! 
と思い、ギターつないで電源豆乳、投入。 

あっれー、直ってるー!

やはり、脚がもげた抵抗が原因の様(R-44)。 
でもたしか交換前に計った抵抗値は正常だった様な。 
もっとも、交換した各コンデンサーも、値はおおむね表示通りでしたしね。解らんもんです。揺すってみれば良かったのかも。 
右が、その原因とおぼしきもげた抵抗。 
左の袋は、よからぬ錠剤を小分けにして販売する商売を始めたわけではなく、交換したコンデンサーです。 

ウルトラハイ&ロースウィッチも、バッチリ働く様になりました。 
完全に効く様になって改めて解ったのですが、どちらも、高域&低域を結構クリップしてるのですな。 
大抵Ampeg使用時には迷わずウルトラハイスウィッチはONにしていたのですが、OFFでもトレブルノブでちゃんと効きは得られますので、こりゃー、ますます『シンプルイズザベスト』と相成りますなぁ。 

機能やチャンネル数やエフェクトではなく、極々シンプルに『君はどんな音すんの?』ということですね。個性と言うか、言ってみればその個体のアイデンティティをいかに汲み取るかでしょう。 

ん〜、なんか今回の修理でいろいろ大変勉強になった気がします。 
全国のAmpegファンの少しでもお役に立てれば幸いです。 
アンプにご興味ない方も読み物として面白かったですか? 

で、無事食卓も復活したかと言うと、おやおや〜っ? 

『なぁお前〜、今度はV-2アンプかいな。しかもイスまでAmpegになっとるやないけ。何やそのアンパンマンは。んなら一生やっとれ〜。』 



『たのしいLINDENゆかいなLINDEN』
2011/02/28/18:36


LINDEN LINDEN LINDE〜N 
たのしいLINDENゆかいなLINDEN 
LINDE〜N LINDENッ! 


Ampeg社は1971年までナメリカ国ヌージャージィ州リンデンにございました(60年代初頭からね)。 
もちろんそれ以降もお引っ越しはしたけれど、マーグナヴォックス社との提携後においても70年代にガムばっていたわけではありますが、かのローリングストーンズの裏方長を長年務めたチャックマギー氏の発言によると、そもそものかの地LINDENにおいてのストーンズとアンペグ社との蜜月は特別なものだったようで(ローリングストーンズとAmpegとの邂逅というかなれそめは以前のこのブログをご参照)、マギー氏曰く、 
『あのね、アンペグはリンデンから引っ越しちゃって変わっちゃったのね。リンデンは言ってみれば『たまり場』だったのね。着いたら街にくり出して、晩ご飯食べてうろうろしてね、それであの人たちはアンプとか見せてくれんのね。もう大分暇つぶししてたのね。ところがね奥さん、アンペグがマグナボックスんとこん行っちゃってからは、もうほんとに会社みたくなっちゃってね、あ、前から会社だったんだけどそれはいいとしてね、なんかね、お友達付き合い出来る仲じゃなくなっちゃったみたいなの。』 

果たしてマギー氏が茨城なまりだったのか、翻訳が正しいかは解りませんが、『Ampeg良き時代』だったわけですな。 
そのLINDEN期千秋楽に世に出たのが、かのストーンズ御用達”SVTのプロト”であり、我が愛するフェイバリット機”B-25”なのですな。 
LINDENを離れた後の”V”シリーズも70年代に君臨する名器ぞろいだったので、フェンダーのCBS買収後の様に賛否両論喧々諤々となる事はないのですが、このLINDEN期の最後の数年間(’69〜’71年)は、Ampegファンにとって、まさに垂涎のゴールデンイヤーズと言えマッしょう。 

当時のお写真がこちら。 
自慢の工場を前に誇らし気なエヴァレットハル社長。

そして、現在は。。。 
どうやら、看板屋さんになってるみたいですね。 

で、通り(Dalziel Road)を挟んだ345番地にあった倉庫がこちら。

で、今は。。。

ほほー、こちらは建物そのままのようですね。左側の船着き場のスロープもそのまんまだし。 
金属関係の会社になってるみたいです。 

んー、私は何をやってるのでしょうか。 
頭おかしいですかね? 
もちろん、現地に行ったわけでも、そんなヒマもカネもあるわけないのですが、 
もっと他にする事あるでしょうが? 

映画でも観に行ったり?その手もありますね。 
何か勉強してみる?んー、それもいいかも。 
バンドはどうした?んんー、はい。 

とりあえずやってみたいのは何? 
えと、居合い抜き。 



『ブイ・スリャァ!』
29/11月/2011 23:15



あっという間に間もなく師走。
またまたこの季節がやってきましたね。

何の?

夜景すか?

UFOウォッチングですか?

なんの、それは
『アンプいぢりの季節でございます。』

さあ、この度俎上に乗せられたのはこちら!

♪あーか〜いあか〜いー、赤いランプのV-3〜
ダーブールー パドルスウィッチ〜、壊れやすーいーのー♪

数あるAMPEGアンプの中でも実は幻の存在とも言えるモデル”V-3”。
ドクトルゲー風に言えば、『アンペェ〜グ V3』といったところでしょうか。

いつものバイブル

によりますと、
1969年に1年間だけ生産されたB-25の回路を若干変更して、ギターアンプに特化したというふれこみでデビューしたのが『V-3』(ちなみにベースアンプに進化したのが『B-25B』)。

B-25は1年間だけの生産に関わらず、後継のB-25Bの息が長かったこともあってベースアンプとして結構根強い人気がある様で、オーナー記事や各種フォーラムでもお目にかかることが多いのですが、『V-3』は倍の2年間(1970&1971)の生産期間があったものの、まったくネットにも引っかかってこなかったのですが、ある日突然eBayに奇跡の登場をし、そこそこのリーズナブル価格で”BUY IT NOW”でしたので、日本に発送可能かどうか確認後矢も楯もたまらず購入してしまいました。
ちなみにそれ以来一度もeBayには登場していない模様です。やはり球数が超少ないモデルの様ですね。

ご覧の通り、見た目はナイスコンディションだったのですが少々の不調箇所もあり、直していただいたりしたのですが、どうもいまいち音がピンとこないままでございました。

上がB-25、下がV-3。
フロントパネルの文字ラインの色(BLUE : BLACK)とノブ以外は全く一緒。

まだMAGNAVOXと提携前。
1971年まではニュージャージー、リンデンにAMPEG社はありました。

そうそう、昨日のブログで書いたストーンズ『ブリュッセルアフェア』公式配信サイトの背景に、しっかりSVTの後ろ姿があるのが嬉しいですね。

(一番右端に写ってるのがSVTの後ろ姿。そうです、SVTはファン付きなのです)

さてさて、それでどうしたかというと、クリーンサウンドはもちろん、肌理がそろったドライブサウンドのクリーンさ?にも大変気に入っているB-25に比べて、V-3はどこかぐじゃっとした歪みに抜けの悪い音。

ん〜デフォルトがこの音ならば仕方ありませんが、基板も同じものを使い回し、回路図を見比べても、異なるパーツは10個も無い位。
んでは、いっそB-25と同じにしちゃえばいんじゃん?という好奇心をず〜っと抱えていたのですが、いよいよやってみますか。
とのことで、ひさびさにキャビネットから引っ張りだしてご開帳。

抵抗やコンデンサーの交換、配置換えは割と簡単で、B-25にはあるネガティブフィードバック回路も、基板に穴とパターンはちゃんと残ってますので無事設置。
拙い知識の私でも、何とかスムーズにできました。
ほな試奏。

む〜、イマイチぱっとしねえなぁ〜。確かにクリアネスはほんのちょっと増した様に思えますが、B-25に先祖帰りさせた程のことはないですねー。

実は、もうひとつ懸案事項があり、それに関してはバイアスに関しての知識を身につけないといけなさそうなので今だペンディングですが、どうやらこの辺がバイアスに関わるあたりだな、というのは、回路図で大体想像がつきました。

すると、今回の予定には無く、また相違パーツとして見落としていた抵抗がひとつそのエリアにありました。B-25は56KΩ、V-3は100KΩ。
手元のパーツストックには56Kは無く、ためしにと68KΩを付けてみることに。

おぉっ!やったぜ!!
一気にB-25ライクなクリーンネスが増しました。
これこれ、コレを求めてたんでんがな。
やっぱりバイアスで音は変わるんですなあ。奥は深いス。

ということで、冒頭の写真は試奏していた部屋でのお写真。

実はこんな感じでスピーカーキャビネットの上にむき出しで置いて試奏していたのですが、
そのうち調子こいて部屋を暗くして弾いてたときのものです。

真空管のほのかな明かりがとてもナイスだったので撮ってみたのですが、iPhoneカメラとお茶の間デジカメじゃいい感じにはできませんなあ。

ともかく、V-3が使えるサウンドになってめでたしめでたしであります。
幻とか、奇跡とか言っててB-25と同じにしちゃっちゃV-3の意味ネンじゃねえの?
まあまあ、いいじゃないすか。厳密に言うと音の太さとかはちょこっと異なりますよ。
最後にやったバイアスフィード抵抗交換だけ先にやってみればもっとV-3の個性の違いが解ってよかったんじゃん?とか色々考えればキリはありませんが、まあ、いいじゃないですか。

ということで、以前のフォーマットで色々書いていたAMPEGのページを、このブログでも復活させることにしました。
横のカテゴリの”ampeg”にまとめておきます。
ガッツィーなAMPEGファンの少しでもご参考になれば幸いでございます。
では、今後ともよろしゅうお願いいたします。



*何も知らずにアンプの中身を開けるのは自殺行為です。 コンセントを抜いてしばらく経っても、アンプ内部には様々な箇所に数百ボルトの電気が蓄電されており、うっかり触るとなればあの世行きです。家庭用コンセントは100Vなのは周知でしょうが、その数倍の電圧には耐えられますまい。私自身、電気回路知識には疎い身ですが、いの一番に勉強したのが、この蓄電を解除する方法です。器具も手づくりしました。


『リンデンバウム物語』
13/12月/2011 21:44 

胃キャメラ呑んできました。字が違う?
先月あたりから、どうも胃の上部辺りに焼ける様な痛みがありまして、呑んだ直後に。
後には、ご飯を食べた後にも感じる様になり、これは今はやりの逆流性なんとかかえ?と思いつつ、どーしましょー。

私にははたと思うことがありました。
そりゃコーヒー飲み過ぎは良くないのは解っています。
ならばコーヒーに替わって胃にやさしげな飲み物をと台所に思いを馳せてみると、ウチにはジャスミンティの他にハーブティの類いがありますが、何か良い効能を期待できるものはあるでしょうか?

いやはやたまげたまいった。。。

何が?
私の愛用のアンプ、えっ?またですか?そうですよ。
ampeg B-25&V-3という真空管駆動のアンプは、ニュージャージー州『リンデン(LINDEN)』という土地で、ほんの短い間作られていました。
*ampegの『LINDEN期』がどう特別なのかは、この「やっぱAMPEGだね」項内の、"『やっぱAmpegだね。』2010/12/30/00:40 " や、"『たのしいLINDENゆかいなLINDEN』2011/02/28/18:36 " をご参照下さい。

で?
昨年のある日、カレー用スパイスを調達しに長年通うアメ横「大津屋」を訪れた際、ふと棚の傍らを見ると乾燥ハーブが幾種もあることに初めて気付き、その中になんと、『リンデン』という名のラベルがこっちを見てるじゃないですか!!

オレも気違いだよな。ampegネタでハーブまで買う様になるとは思わなかったぜと、結局買ったのですが、使い道も解らずそのまま台どこの棚に仕舞ってあったこのハーブが、まさか胃痛の苦しみから救ってくれるとは。。。

またの名を「リンデンバウム」というこのハーブは、胃腸にも良いんだとか検索するとすぐさま出てきました。
早速このリンデンハーブをハーブティとしてポットで入れ呑み呑みしたところ、何とも良い味わい。
そのせいか、同時期に行ったえのき茸フードプロセッサードロドロ&出汁使用が良かったのか、黒酢入りアップルジュースが良かったのか、便通が突如改善され、『やっぱり』と思っていた、腸と胃の相関関係で、あの胃の焼ける様な痛みはすっかり無くなりました。

こ、これはもしやすると...

思えば、それまで見た事も聴いたこともなかったアンプ "B-25(リンデン期ampeg)" をebay上で見初めて落札、瀕死の状態から自ら修理し、その妙なる音色を再び世に奏でさせる事ができた私への.... 

そうです!これぞ『アンプの恩返し』なのです!!

さあ、とうとう狂人扱いですね。

我慢して長々と駄文を読まされて何か役に立つものでもあればと思っていたら、ファンタジーかよ!

まぁまぁ、人間にはファンタジーが必要なのですよ。
現に、B-25に出会って直して、世の中や人生に通じる色んなものがカチカチッと繫がって、今になって爽やかな心持ちを実感できているわけですからね。

結局後日出た胃キャメラの結果も、少々赤くなった跡があるものの、取り立てて何かをしなくてならないレベルでは全然ないとのことで、大変安心したというわけ。

アンプいぢりにも凝ってみるもんですね。
恩返しはともかく、60’s末から70’s初頭のROCKやら何やらが特別だった時代には何かあると常々感じていたことに、向こうから微笑み応えてくれた様で、 何か一方的な片思いが、初めて双方向=インタラクティヴに次元昇華した様な、何だか起きしなに観る甘い夢みたいですな。


『suck it!』
18/10月/2012 22:40


先日、夜半になんと『ギミーシェルター』が電波放映されており、実はその昔ブートVHSで観たっきりだったので、DVDも所有しておらず、日本語字幕ものは初めてだった次第。
ほとんど何気に斜め観していたのですが、本編が始まる前とその後に登場した解説のバンドメン様の男女によると、この映画の後半(前半はN.Y.マジソンスクウェアガーデン)のオルタモントのステイジでは、ストーンズはあの騒ぎの中、何があっても演奏をヤメず、何かと戦っていたのだそうです。 へぇ〜、そうなんだぁ〜、いャ〜知らなかったなぁ〜。

私何ぞは、中断される『悪魔〜』のラフな何ともいえない感じ、そしていかにも時代寄りの言葉でどうにか宥めようととするジャガーと、キースの「てめぇいい加減にしろよ!」というある意味横山のヤッサン的な切符の良さの対比が昔から大変良い観所だった訳ですが、実は、今回それとは別に発見した事がありました。

はいはい。では、全国何万人、何千人、何十人?何人?生きながらえてるのかどうかクウェスチョンなampegファンの皆様、大変久々にampegネタでございます。

ストーンズが’69年USツアーから縁あって使い始めたampegですが、この映画でもステイジ後方にまさに壁の如くずらっと並べられているのは、’69年NAMMショーで初めてお披露目されたampeg社の新機軸、”Super Vacuum Tube”思想に乗っ取り開発された”SVT”プロトタイプだった事はファンの方ならご存知の通り。


キースもテイラーさんもビルさんもアンプは全てSVTなのがこの時期(テイラーさん在籍時)のトレードマークで、ストーンズ史上最高の『音』と言われ続け、しかしファンの皆様はそれがampeg社謹製SVTだったとはあまりにもご存知でなく、「音楽好き」ならカッコやポーズよりももちょっと耳を傾けましょうよ!というフラストレイションを常に持ち続けてきたのですが、今回何を発見したかと言うと、
キャビのサランから、スピーカーのセンターキャップが光って透けているの発見。
なぜか偶然部屋を撮影していたものをブロウアップしてみたらたまたまその画像がありました。

キース&テイラーのキャビに光るセンターキャップは4つ!!
あれっ?するってぇと、SVTの10インチX8キャビじゃないんだ!!
あわてて、例の文献 
"THE STORY BEHIND THE SOUND"を紐解いてみるとちゃんと記述がありました。 

『雷は恐いねぇ、なぁ〜るほど』といった次第で、キース&テイラーのギター組は12インチx4発のキャビネット、ベースのビルさんは15インチx2発のベース用。
うん、SVTのオリジナル10インチx8発キャビはもっと幅がスリムなはずだもんね。

以前、日本のストーンズトリビュートバンドのバンマスT.A.氏にいただいた70年代のampegカタログには、各種アンプヘッドとキャビネットの組合せ図が提示されており、ギター用にはSVTヘッド1台と、
”V-2”キャビ(12インチx4発)2台という取り合わせが紹介されています。

ここで紹介されているギター用のV-2キャビとは、我が家のものとほぼ同型であります。

しかし、我が家のキャビは表のサランからセンターキャップがピカリと透けてなんかいません。
ではキース&テイラーのキャビって一体何じゃい?
これじゃい!!

『要はセパレートアンプとは組み合わせの妙』であるわけで、この写真は真空管ではなく、ソリッドステイトラインの”ST-42”というアンプであります。
この、ST-42用の12インチx4発のキャビをキース&テイラーはSVTヘッドと組み合わせていたんだそうな。
そして、このサランから透けるピカピカのセンターキャップを持つ12インチスピーカーとは、かの
ALTEC社(ampegは常にオプションでALTECを常備)製”417-A”ユニットなのだそうです。
はぁ〜なるほどねぇ〜。

して、ビルさんの方の15インチ2発とはこのST-42キャビと外身のサイズが同じ箱を使用していた訳で、それはこちら、

やはりソリッドステイトラインの”SBT”アンプ用の、ALTEC 421Aというスピーカーを搭載したもの。

そっか、全て10インチx8発のSVT純正キャビをずらっと並べていた訳ではなくて、中身でギター用とベース用と誂えていた訳なんですなぁ。
ちなみに10インチx8発SVT純正キャビ(おそらく)も1台発見しました。キャビのサイズが違うのが解りますね。
(*もしくは先のカタログの図の、V-6B縦長キャビネットかもしれません)

キースのアンプはSVTヘッド2台と、ST-42キャビ4台の組合わせ。
やっぱり300W出力のSVTヘッドには各キャビ1台のみとは行かない訳ね。
テイラーさんも同様の台数だもんね。

だとおもったら、SVTヘッド4台にST-42キャビが6台!!!???
まぁ、スペアもあるかもね。

そのままズルズルと’69年ツアーのアンプマネジャになってしまったリッチマンデラ氏によると、ギターで使ってたSVTヘッドが、リハーサル時に連続使用してたら真空管のグリッドが真っ赤っ赤になってしまいこりゃ大変!2台のヘッドを切り替えて難なきを得たんだとか。
‘69年当時はP.A.システムの黎明期であった訳で、巨大化するコンサート会場に先ずは追いつけ追い越せと踏ん張ったのが、SVTやMARSHALL MAJORといったモンスターアンプであったわけで、その後日進月歩でテクノロジーが進むに連れて、時代の最たる徒花であったモンスターパワーアンプはよっぽどの頑固者でなければ使いこなせないものとなり(でもその他とは似て非なる音なんだけどね)、SVTもその後スタンダードとなるベースアンプとしてのステイタスを獲て行くわけです。
『’69年がストーンズ最高のツアーだった』とジャガーは後年回顧する訳ですが、ある意味こんな奇跡のampegドラマもその要因であったのかも。

年代と名称こそ違いますが、ウチのV-2キャビも、基本構造はST-42と一緒。

この縦長の、マーシャルなんかとは異なる、バスレフ?穴を持つ12インチ4発キャビから繰り出されるサウンドがまたインだなぁ。
今から数年前、楽器屋さんのアンプ部屋の後列にひっそりと佇んでいたのを見かけ、ビビビときて購入したのですが、これは良いものを手に入れたと、あらためて思う次第です。
将来的にはALTEC-417に入れ替えますか。

はぁ〜。では寝るか。

やっぱampegでしょ!その2へつづく!


コメント

shiro さんのコメント…
初めまして 史朗と申します。



最近になって後期のVTー40、22などのミッドレンジが+−と言う

コントロールになっていると気づいた者です。

Vー4のヘッドにはこれはナシですか?

後期のデザインでは使えないDistotion がついていて興味が

なかったのですが、アンプをドンシャリにセットする私には

ミッドをマイナスにできたら素晴らしいと考えました。

暇な時に教えて頂けますでしょうか?
ラブとしや さんのコメント…
史朗さん、はじめまして。

コメントありがとうございます。



VT-40とV-2、VT-22とV-4は同じなんです。

スピーカーがついてるかついていないかの違いです。

なので、ミッドレンジコントロールも同様に使えますよ。



ちなみに、私が初めて買ったampegはVT-40で、ワンヴォリュームでしたが、DISTORTIONつまみもついていました。

おっしゃるとおり使えないファズみたいな音がするものでしたが、不思議なことにスタジオで1時間くらい使っていると、あの使えないDISTORTIONが、リニアブースターの様にゲインをグッとアップするものへと変身することがありました。ただ毎回ではなく、一か八かなのでそうなったらラッキーぐらいに考えていて、原因も分からずじまいでした。

これからもよろしくお願いします。

コメント、ご質問はいつでもお気軽にどうぞ。